オルケゾグラフィ
-全訳と理解のための手引き
トワノ・アルボー(著)
古典舞踏研究会原書講読会(訳)
今谷和徳・中村好男・服部雅好(編著)
武田牧子・関根敏子(著)
初版発行:2020年3月17日
体裁・総頁:A5判並製・394頁
ISBN:978-4-8105-3004-9 C1073
装幀:高木達樹
■内容
〈トワノ・アルボー生誕500年記念出版〉
16世紀後半にフランス(ラングル)で出版された舞踏の指南書、待望の完訳!
基本の拍取り、太鼓の打ち方から始まり、さまざまな踊りの足の運び、動き、表情、しぐさ……
若者が身につけるべき礼儀作法の一つとして舞踏を論じ、当時の世相と社交の場を生き生きと描きだした第一級の基礎文献、堂々の完訳。
「オルケゾグラフィ」とは、著者アルボーの造語で、「オルケーシス(踊り/身体表現)」に「グラフィ(書き表したもの)」を組み合わせた言葉。のちの「舞踊記譜法」の先駆だが、残念ながら用語として定着することはなかった。
■書評
「日本チェンバロ協会年報 2021」第5号(評者:平山絢子氏)
「舞踊學」第43号(評者:譲原品子氏)
「レコード・コレクターズ」2020年 6月号(評者:小川真一氏)
■目次
はじめに・参考図版・「全訳」の編集方針と凡例
第1部 『オルケゾグラフィ』全訳
全訳 (208ページ)
訳注 ( 64ページ)
全訳の内容一覧
第2部 理解のための手引き(図表・地図あり)
§1 トワノ・アルボー(ジャン・タブロ)と『オルケゾグラフィ』
§2 『オルケゾグラフィ』の原典、ファクシミリ版および翻訳本
§3 15~17世紀初頭のフランスとイタリアの舞踏に関する文献
§4 アルボー時代の拍子とリズム
§5 ジャン・タブロが参照した踊りに関する古代の文献
§6 『オルケゾグラフィ』をめぐる風俗
参考文献・全訳の索引
■訳者
古典舞踏研究会原書講読会
主として15世紀から18世紀までの時期にヨーロッパで踊られていた舞踏の研究、再現を行ない、さらにその普及を目的として,1982年に設立された古典舞踏研究会の分科会の1つ。古典舞踏に関する外国語の文献を講読し、翻訳を行なう原書講読会は、当初からトワノ・アルボー著『オルケゾグラフィ』の翻訳に取り組み、現在に至っている。
■編著者(プロフィールは2020年3月現在)
今谷和徳(いまたに・かずのり)
1945年生。音楽史家(ルネサンス音楽史専攻)。早稲田大学第一法学部卒。同大学院文学研究科(西洋史専攻)博士後期課程単位取得満期退学。早稲田大学、慶應義塾大学など多数の大学で講師を歴任。早稲田大学の公開講座ほか各種レクチャーの講師をはじめ、NHK-FM「古楽の楽しみ」パーソナリティなど多方面で活動。著書:『バロックの社会と音楽(上・下)』、『ルネサンスの音楽家たち(I・II)』、『新版 中世・ルネサンスの社会と音楽』、井上さつき氏との共著『フランス音楽史』ほか多数。
中村好男(なかむら・よしお)
1954年生。工学院大学卒業後、勤めのかたわら始めたチェンバロをきっかけに設立間もない古典舞踏研究会に入会、同会主催の公演(1984〜89)等に踊り手として出演。同会会報にR.-A.フイエ著『舞踏記譜法(1701)を翻訳連載(2002年完)。原書講読会には初期の82年から参加。
服部雅好(はっとり・まさよし)
1950年生。古典舞踏研究家、バレエアカンパニスト。早稲田大学社会科学部中退。82年,古典舞踏研究会発足と共に参加、運営に携わる。同会主催の公演「ルネサンスの舞踏と音楽」等に参加(1984,89)。93年より「ダンシングマスター研究」、94年よりアーリーダンスグループ「カプリオル」を主宰、古典舞踏をテーマに毎年作品を発表。様々な講座・講習会で古典舞踏を指導するほか、障害者とのワークショップなども行なっている。
■著者
武田牧子(たけだ・まきこ)
国立音楽大学ピアノ科卒業後渡米。西ミシガン大学及びマンハッタン音楽院修士課程修了。同音楽院で西洋舞踊史概論を受講。オハイオ州立シンシナティ大学でヒストリカル・ダンスをR. パワーズより学ぶ。1997年に帰国後、古典舞踏研究会に所属し、15世紀から17世紀にかけての舞踏文献の研究や、その成果に基づいた舞台の制作に取り組んでいる。ルネサンス・ダンス集団「イル・クワトロチェント」主宰。
関根敏子(せきね・としこ)
音楽学、音楽評論家。桐朋学園大学音楽学部(音楽学)卒業後、フランス政府給費留学生としてパリ高等音楽院に学ぶ。チェンバロをS. ロス、T. コープマン他に師事。多数の大学で講師を歴任。フォンスフローリス古楽院講師、音楽文献目録委員会事務局長、北とぴあ国際音楽祭アドバイザー、NHK-FM「古楽の楽しみ」パーソナリティ。監修・共著『古楽演奏の現在』、監訳『西洋の音楽と社会:後期バロック』2巻、楽譜校訂『D. スカルラッティ』、ディエニー著『演奏家のための和声分析と解釈』訳、ほか多数。