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同じ月を見あげて
-ハーモニーで出会った人たち
新澤克憲(著)
初版発行: 2024年4月26日
体裁・総頁: 四六判並製・272頁
ISBN: 978-4-8105-8105-3603-4 C3047
装画: ウルシマトモコ
装幀: 高木達樹
■内容
「幻聴妄想かるた」で知られるハーモニーは、精神疾患を抱える人のための就労継続支援事業所。著者は、この事業所の立ち上げの時から、所長として30年にわたって、心病む人たちに寄り添ってきました。
町の中を「普通の」人と行き交いながら、口を固く閉ざし、まるで「居なかった人」のように扱われてきた精神障害者。その実際の暮しと思いを、支援者の立場から、愛情を込めて語ります。
病と社会に苦しめられる痛みと落胆、その中で見つけた覚悟。穏やかに笑い合える時間… 生きることの切なさ、かけがえのなさが、行間からひしひしと伝わってきます。
当事者・家族、支援関係者だけでなく、多くの方に手にとって頂きたい本です。
■齋藤陽道「この本と、新澤さんのこと」
私たちは、いつ、どのように崩れるかわからない、やわらかくて繊細な弱さを含んだ砂の家なのだ。
砂の家をめぐって厳しい現実を見つめる新澤さん。崩れる砂をともに掬い集め、ともに直し、コツコツと関係を築いていく。
不意に訪れた悲しき日もごまかさず描く。それでも日常はやってくる。何気ない日常のかけがえなさを深く噛み締めた人にしか表せない描写によって、登場するみんながふしぎなほど近しくなる。そうして、自分自身の抱える弱さをも愛でたくなる。
■紹介記事
☆読売新聞 2024年9月8日朝刊
「本よみうり堂 -空想書店」瀬尾夏美氏
https://www.yomiuri.co.jp/feature/titlelist/bookkuusoushoten/
☆ケアマネージャー 現場で役立つ相談援助のスキルアップマガジン 2024年9月号「NEW BOOKS」
☆おはよう21 介護専門職の総合情報誌 2024年9月号「BOOK REVIEW」
☆精神看護 2024年7月号「自著を語る」
☆聖教新聞 朝刊 情報プラザ「BOOK」 2024-06-07
☆北海道新聞 朝刊 書評欄「読んでみた」(評者:中村公美)2024-05-26 https://x.gd/udkqW
☆コトノネ vol.50「気になる新刊二冊」2024-05-20
☆こここ(ウェブマガジン)ニュース&トピックス「支援者が語る「精神障害」の世界」2024-05-13 https://x.gd/vTTb8
■目次
プロローグ――ハーモニーへ
Ⅰ はじまり
1 哲也さんのギター
2 香風荘
3 私の居る場所
Ⅱ 転機
4 幻聴妄想かるた
5 幻聴妄想かるた その二
Ⅲ ハーモニーの日々
6 余生とアップルパイ
7 良太さんと煙草屋の夫婦
8 Mr.チャーリー☆スター
9 水平の虹
10 失踪の心得
11 大きな地震のあとで
Ⅳ 家族の風景
12 進さんの乾電池
13 私のお墓のまえで
14 母の名前を書く
15 父たちと戦争
エピローグ――長島愛生園にて
■「あとがき」より
……わかるとか理解という言葉はどこか、相手を支配し、取り込むような気持ちの悪さがある。わかる/わからないを置いておいて、ただ、話を聞いたり一緒に居たりすることしかできない時間が私の日常のほとんどであって、この本のなかで書いてみたかったのは、そういう時間のことだったのだ。